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サイドストーリー3 約束 後編

Aвтор: 彼方
last update Последнее обновление: 2025-11-23 18:30:00

59.

サイドストーリー3 約束

後編

 彼女が開いて連絡先交換をしようとしてる携帯電話の待ち受けは『松潤』だった。僕は自分で言うのはちょっとアレだが松潤に似てると言われてきた。それは10回20回程度のことではなく、「ありがと、もう分かったよ」と言いたくなるくらい色々な人から言われることだった。つまり、その待ち受けを見ることで本当に僕の顔が好みなんだとわかった。

 そして、この子のことは僕も好きになりつつあった。いや、好きだった。連絡先の交換はしたい。付き合いたい。また、この子に絡みつくように抱きしめられたい。そういう気持ちになった。一瞬だけど。

 でも、僕は彼女持ちだ。裏切りたくない。かと言ってこの子がすんなり引き下がる言葉ってなんだろう。「連絡先交換くらい良いじゃない」と言われそうだ。その通りだとも思うけど、ここで交換したらそのままお付き合いに発展する気しかしなかった。自分のことは自分が一番わかる。

「……もう一度会ったら」

「え?」

「僕は多分この店にはもう来る機会はない。それでも偶然どこかであなたともう一度会ったら。

その時は運命だと思って連絡先を交換すると約束する」

「わかった、約束よ!」

「約束だ」

◆◇◆◇

6年後

 僕は渋谷にいた。

   今から帰ろうと駅前の大森堂書店に少し寄り道してから交差点に向かう時。とっても素敵な笑顔でベビーカーを押すお母さんがいた。

 横にはどこか僕に似てる顔をした旦那さんがいてまだ小さな赤ん坊と3人で僕の横を通り大森堂書店へ向かって行った。

 髪はショートだったので首は見えていた。2つのホクロがある。前より歳を重ねて綺麗になってるなあと、少しだけ見つめてしまった。

 僕はもう帰るつもりだったけどすぐ近くのカフェに気付いたら入ってた。会ってどうするつもりなんだろう。会わない方がいいに決まってる。(このまま帰れよ)自分に言い聞かせたが、カフェでとりあえず休憩してしまった。

「ちょんちょん」

 そう言いながら僕の頬をつつく指があった。彼女がそこにベビーカーを押してやってきていた。

「あ、気付いたの。すごいね」

「アナタ全然あの時のまま変わって無かったから」

 ニコッと笑った彼女はあの時と同じ、かわいい八重歯を見せていた。

「キミは歳を重ねて綺麗さに磨きがかかったね。あの時よりも……美しいと思う」

「6年ぶりだからね」

「そんなになるの? たった一日のことよく覚えてるね」

「本当に好きになってたから…… 会いたかった」

 …

 …

「そうだ、旦那さんは?」

「あの人は本屋に入ったらもうしばらくは出てこないから、その間はカフェに行くのはいつものことなの」

「幸せそうじゃないか。やっぱりあの時僕と連絡先交換しなくて良かったんじゃないか?」

 少し黙って、女は考えた

「……そう、かもね。でも会いたかったのよ」

「6年後になるとはね」

「ねえ、あの時の約束は……?」

 約束の事はもちろん覚えてる。でも、あえて言い出さないようにしてた。その約束を守れば、彼女の幸せを壊す可能性があるのが分かるから。

「いま幸せなら僕はジャマになっちゃうだろ。きみの幸せを壊すのは絶対いやだよ」

「……そうね。じゃあもし、もしまた会う時があったら」

「そうだねその時は。さすがに約束守ろうか」

 見つめあって2人は少し止まる

「もう、行くわ」

「あ! あの。名前は」

「あすか!」

 そう言うとあすかはベビーカーを押してまた本屋に向かった。僕は名乗ることもなかった。

 あすかとはその後は会えないままだ。でも…… それでいい。

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